【手作り食派向け】‐意外と知られていない療法食のコンセプト 低脂肪編‐
「脂肪(脂質)」は、犬猫にとって必要不可欠です。
「手作り食」の方は、特別な理由がない限りは不必要に「低脂肪(低脂質)にしない」でください。
「膵炎」の予防においても、低脂肪にする事は必須ではありません。
膵炎の症例を手作り食で治してきた私からすると、脂肪の〝量〟が「主たる問題ではない」です。
まず、
膵炎になった原因は「高脂肪食」、だから膵炎の予防のために低脂肪食にしよう、
というのは「間違い」です。
(膵炎になった原因は高脂血症、だから高脂血症の予防のために低脂肪食にしよう、ならわかります)
そもそも、
『高脂肪食で膵炎になる』
という明確なエビデンスはありません。
そのため、大手フードメーカーは現在、『高脂肪食で膵炎になる』と断言していません。
(公式ホームページをご覧になってみてください)
不確かであるにも関わらず、まことしやかに「膵炎の予防に低脂肪食にしよう」とすすめています。
なぜなら、「低脂肪とかけばよく売れるから」です。
『高脂肪食で膵炎になる』
という“明確な”エビデンスがあれば、療法食分野において、低脂肪食の販売のすそ野を広げるさらなる「強み」になります。
また、療法食に限らず総合栄養食の分野においても、低脂肪はすすめられています。
高脂血症の子(療法食)と高脂肪食を食べている子(総合栄養食)は、どちらの方が多いでしょうか?
(高脂血症は脂質代謝異常、つまり病気です。
高脂肪食を食べている子は、その全てが高脂血症(病気)なわけがないです)
間口を広げるマーケティング戦略である事が分かります。
以下は、低脂肪の療法食/総合栄養食の説明です。
<療法食の低脂肪>
「膵炎の再発予防のために低脂肪にしよう」
と、長期間にわたり、低脂肪食を食べ続けているコも多いです。
ドライフードでは低脂肪にしても膵炎になることがあり、高脂肪にしても膵炎にならないこともあります。
またドライフードの場合
膵炎
↓
再発予防のために、低脂肪食で脂肪を〝制限〟(長期間に及ぶことも)
↓
脂肪制限による弊害(皮膚被毛など。 詳しくはまたNoteのメンバーシップ投稿にでも)
↓
シニア期に入って、腎臓や心臓が悪くなった場合
↓
〝脂肪高め〟な腎臓や心臓病用療法食に変更
という流れはよくあります。
腎臓や心臓用の療法食に変更したからといって、必ずしも膵炎を再発するわけではありません。
(やはり脂肪の量は関係ない)
低脂肪の療法食とは。
尿石用療法食と同じく、療法食分野の中でも最も売れている(=食べている子が多い)分野のひとつです。
腎臓系/心臓系の療法食とは。
「脂肪」がやや高めとなる設定です。
療法食では、膵炎(低脂肪)と腎臓心臓病(高脂肪傾向)の併発の子用フードの要望が多いです。
今、あるメーカーのある療法食で、そういう設計のドライフードは存在するようです。
(広く市販されている既製品とは少し異なるライン)
<総合栄養食の低脂肪>
ドライフードやフレッシュフードなどの総合栄養食では、
低脂肪にすることは「犬猫の体に良い印象」がどうもあるようです。
(減塩やグレインフリーなども同じ理由から)
また、「肥満」予防のために低脂肪を、ともいわれます。
そもそも、肥満は脂肪量が直接の原因ではありません。