無塩は危険

「犬が塩分を摂りすぎると心臓や腎臓に負担がかかり、・・・」とネットで散見します。

しかし、犬猫に塩分は必要です。
手作り食の方は「十分な塩分」を与えましょう。

理由はさまざまありますがその一つとして、ナトリウムが欠乏すると脱水するからです。

常日頃から「塩分は十分与えてください」と診察時にお伝えしていても、よく聞くと「実はうす味にしていた」ということが非常に多いです。

理由をお聞きすると、たいてい「頭では分かっていても、塩を与えることが怖い」とおっしゃいます。

ナトリウムを与えることが怖いとおっしゃる方には、こんな話があります。

キャバリアというワンちゃんがいます。
僧帽弁粘液腫瘍病変の好発犬種として有名です。

キャバリアといえば心臓疾患(僧帽弁閉鎖不全症)、と連想しない獣医師はいないのではないでしょうか。

そこで、キャバリアを飼い「塩分たっぷり」の食べ物を与え、心臓病にして手術の検体にしようと考えた心臓外科の教授がいらっしゃいました。

結果、そのキャバリアは17歳(当時)でも心臓病を発症することなく非常に元気、とのことでした。

要するに、塩分の過剰が怖いからと健康なワンちゃんに逆に塩分を制限してしまうと、かえって体に悪いということです。

ペットフードにおいても、ナトリウムが制限されている製品をひんぱんに見かけます。

それどころか、「減塩」を売りにしているフードさえあります。

ペットフードメーカーによると、実際には日本人の消費者は「減塩」と記載すると購買意欲が湧くというデータが紹介されていました。

「シニア期用フード」は特に「減塩」設計が施されていることが多いフードです。

それを与えられている子で脱水している症例は多いです。

減塩は危険です。
様々な弊害が想定されます。

一番多く出会う事例として、軽い下痢や嘔吐でフラフラになってしまうことなどがあります。

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